キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
それから2日後、あたしは人生初のお給料を手にし、お店に走った。
プレゼント用の箱に入れて貰って、青色のリボンも巻いてもらった。
それと一緒に近くのドラッグストアに寄って、髪のトリートメントを買った。
…これは、お詫びとお礼に。
そして今朝、大きなケーキを買い、気合いに気合いを入れまくったあたしは安堂くん家へ向かっていた。
ピンポーン、とオートロックのドアの前で安堂くんが出てくれるのを待つ。
『……はい』
「こ、小林ですっ」
モニター越しの声にもドキドキする。
いよいよ始まる。
初めてお祝いする、誕生日。
「いらっしゃい」
玄関を開けてくれた安堂くんにドキドキしながら、あたしは家の中に入った。
「きょ、今日はおじさんは…?」
「仕事」
いつものことだけど、ドキドキする。
お家に二人きり。
恋人同士が二人きり。
「そ、そーなんだねー?おじさん、忙しいんだ?今日はせっかくの…、せっかくの……」
そこまで言って、あたしは言葉を詰まらせた。
大胆にもでっかいケーキの箱を持ってるけど、今はまだ自分の体の後ろに隠している。
リビングに入ってから、じゃーん!と見せ付けよう。
安堂くんの大好きなチョコケーキにしたんだ。
しかもお店で1番でっかいやつ。
「どうしたの?早く上がったら?」
安堂くんに促されて、あたしは家に上がった。
そっとそーっとリビングに向かう。
ドアが開いて、リビングに入った瞬間、あたしは声を張り上げた。
「安堂くんっ!誕生日おめでとーー!!」
じゃーん!とケーキの箱を持ち上げて、安堂くんと向き合う。
『うわっ!ビビった!』って、『こんなでかいケーキ貰っていいの!?』っていう反応をあたしは期待していた。
でも――――。