キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
みんなの知らない安堂くんを、あたしは2つ、知っている。
1つは、先生と付き合っていた、こと。
(これはあたしにとって力強い味方になるはずだったのに…)
このことが災いして、もう1つの顔を知る。
もう1つは、安堂くんは自分がモテることを鼻にかけている、こと。
じゃなきゃキス(しているように見える)の写メをバラまくぞ、なんて言わないだろう。
バラまかれたら終わりだ。
学年中、…もしかしたら学校中の女子からつまはじきにされてしまう。
(それに、彼氏だって…)
ここまできて、ハッとした。
そうだ、あの写メをバラまかれたら、あたしの高校生活…、
(一度も彼氏の出来ない、化石で終わってしまう…!)
あまりの衝撃に目眩がした。
酸欠か?いや、寝不足だ。
昨日の今日で、朝方まで寝付けなくて、お弁当を作る時まで吐息が触れ合いそうになった距離を思い出して、学校に来る時も緊張して、教室に入る時はもっと緊張した。
でも――…。
よくよく考えてみたら、先生(おとな)と付き合ってた安堂くんからしてみれば、あんなことなんて些細でさえもないことなのかも。
(って話ズレてる…っ!!)
もう、脳内めちゃくちゃだ。安堂くんのせいではちゃめちゃだ。
あたしはため息をついて、トボトボと教室へ帰った。