キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
「……ありがと」
安堂くんは顔の前に差し出されたケーキを見つめて、静かにそう言った。
ケーキへの反応はちょっと期待ハズレ。
(…ケーキ、見えてたのかな…?)
「こんな大きいケーキ、小林どうしたの?」
「!!」
そういうわけでもなかったらしい。
あたしはシッポを振るように、安堂くんを見上げた。
「ふふ、ちょっとね?大奮発!安堂くんの好きなチョコケーキだよー」
すぐに食べたいって言ってくれるかと期待したけど、安堂くんは中身を確認することなく、冷蔵庫の中に入れてしまった。
なんか、今日の安堂くんはちょっと変。
元気がないみたい。
「あんどーくん…?どうした…」
「小林がさ、3年になってからずっと疲れてたのって、何かしてたからなの?」
「…えっ!?」
突然聞かれてびっくりした。
せっかくせっかく内緒で、驚かせたかったのに。
「な、何のこと~?あたしは特に何もしてないよ~?」
そっぽを向いて、唇を尖らす。
ちらりと安堂くんを見ると、まだこちらを見ていた。
「そんなことより、あたしからのプレゼント、ケーキだけじゃないんだよーっ。なんと、これっ!はいっ!」
話題を逸らすべく、慌てて鞄の中から小さな紙袋を取り出した。
「……なに…」
「開けて開けてっ」
ウキウキで安堂くんに言う。
開けて貰わないと、説明が出来ない。
桜田くんに言われた言葉だけど、それを安堂くんにも伝えたい。
安堂くんはゆっくりと箱を開けた。