キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉

「……ありがと」


安堂くんは顔の前に差し出されたケーキを見つめて、静かにそう言った。

ケーキへの反応はちょっと期待ハズレ。


(…ケーキ、見えてたのかな…?)


「こんな大きいケーキ、小林どうしたの?」

「!!」


そういうわけでもなかったらしい。

あたしはシッポを振るように、安堂くんを見上げた。


「ふふ、ちょっとね?大奮発!安堂くんの好きなチョコケーキだよー」


すぐに食べたいって言ってくれるかと期待したけど、安堂くんは中身を確認することなく、冷蔵庫の中に入れてしまった。

なんか、今日の安堂くんはちょっと変。

元気がないみたい。


「あんどーくん…?どうした…」

「小林がさ、3年になってからずっと疲れてたのって、何かしてたからなの?」

「…えっ!?」


突然聞かれてびっくりした。

せっかくせっかく内緒で、驚かせたかったのに。


「な、何のこと~?あたしは特に何もしてないよ~?」


そっぽを向いて、唇を尖らす。

ちらりと安堂くんを見ると、まだこちらを見ていた。


「そんなことより、あたしからのプレゼント、ケーキだけじゃないんだよーっ。なんと、これっ!はいっ!」


話題を逸らすべく、慌てて鞄の中から小さな紙袋を取り出した。


「……なに…」

「開けて開けてっ」


ウキウキで安堂くんに言う。

開けて貰わないと、説明が出来ない。

桜田くんに言われた言葉だけど、それを安堂くんにも伝えたい。

安堂くんはゆっくりと箱を開けた。
< 190 / 352 >

この作品をシェア

pagetop