キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
そういえばここ最近、安川くんは髪の色を変えた。
明るめでキメていたのに、もっとすごい奴(さのつく奴)がやってきて、キャラがモロかぶりだからとかいう理由で真っ黒に染め直したらしい。
しかしそれが功を奏して、結構女子から好印象なんだとか。
「何でお化け屋敷のチケットがそんなに凄いの?あたし、お化け屋敷は…ちょっと…」
「安堂くんがお化け役なのよ!」
首を傾げるあたしに、ナッチが言った。
「……え、」
「みんなこのチャンスに、お化けに驚いたふりして、抱き着こうって…押し倒そうって魂胆なのよ!」
「…えっ?」
「玲美たちなんて今朝6時から並んでるって話よ」
「えっ!?」
「あんたから奪還するんだって色気ムンムンの格好してる子たくさんいるって話なのよ!!」
(えぇ~~~~~~~~~っ!!!)
「あ、あた、あたしそんな話聞いてないよっ!?」
「あたしはいつもあんたに話してたわよ!なのにあんたときたら、ここんとこずーっと指折り数えては頬を染めて…っ!なべっちだってずっと言ってたんだから!」
ここのところずーっと、あの時のキスに脳内が侵食されていて、全く話を聞いていなかった。
ただ安堂くんに模擬店は何をするのかって聞いた時、安堂くんは何もしないって言ってたはずなのに…!
「あたし、ちょっとチケットを…っ」
駆け出そうとするあたしの後ろ首をナッチが掴んだ。
「そぉはいかないわよ!あんた、お好み焼きの係でしょ!?」
「…う゛っ」
そう。
あたし達のクラスの出し物はお好み焼きだった。
当番制であたしは午前最初の2時間。
「だ、だって!じゃないとチケットが…っ」
「よくよく考えてみたら、知枝里には必要ないのよ!あんなチケットなくたって安堂くんと二人きりで文化祭回れるんだから!」
…親友が一瞬で敵になった。