キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉


5時間目が終わってすぐに、ナッチの元に走った。

そこで、とある提案をする。


「賛成っ!!!!」


そしてすぐさまそれに、賛成の返事が返ってきた。

その、提案とはもちろん―――。


「やるわ!夏休みを賭けたダイエット…っ」


ナッチは何かを夢見るように、天井を見上げ、顔の前で指を掛け合わせていた。


「そうよ。高校最後の夏なのよ。受験がなによ!勉強がなによ!」


恋愛の神様はやはり違う。

あたしが持ち掛けたはずなのに、既に自分のものにしつつある。


「あたしは彼氏を作るため!知枝里は彼にその気になってもらうため!一緒に頑張ろう!必死に頑張ろう!」


(そ、その気って……)


小さな言葉に傷付くあたしに気付かずに、ナッチはキラキラと闘志を燃やしていた。

ダイエットをする!と決意した瞬間、鏡の中の自分が子豚に見えはじめた。


(ほっぺたも、あごも、二の腕も腰も、太ももも!)


引っ張るとどこまででも伸びていきそうだ。


(あたし、こんな姿で安堂くんと…!)


向き合ったり、抱きしめられたり…。

キスされてる時、腕、触られてた気がする。

安堂くんは意地悪だけど優しいから、


『………太。』


と思ったにしても、言わないでいてくれたのかもしれない。

もしかしたら、先生と比べて――――。


(先生の方がよかったなんて思ってたらどうしよぉぉぉ………!!!)


そう思った瞬間、血の気が引いた。


「知枝里、目標体重どうする?」


鏡の前、ムンクのようにげっそりしていたあたしに、ナッチが言った。

涙目でナッチを見て、あたしは叫ぶ。


「痩せられるなら何キロでもっ!!!」


このぽよぽよを全て削ぎ落としたい!!!


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