キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
「あはは! 安堂くんも走ったりするんだぁ…!」
「……は?」
「――ハッ!! いや、何も!!」
屋上に出て第一声。
息の上がったあたしは、ハッとして頭を振る。
頭の中で言ったはずの言葉が、なぜか声となって溢れていた。
「い、今のは違うんです…! い、言い間違っただけで…っ」
慌てて顔の前でバッテンを作る。
それでも前の男は、しらっとやる気のない視線を向けたまま。
「……間違い、って。何とどう間違ったんだよ」
「いやっ、あの、安堂くんも女子を撒いたりするんだなぁって思っただけで………、――ってちが…っ!!」
ますます地雷を踏んで、否定する。
顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
咄嗟にそっぽを向いて、赤くなった顔を隠そうとした。
それでも視線が、あたしを捉えているのが嫌でも分かる。
ますますじわりと汗ばんで、昼間よりも冷たくなった風に、晒されていると――。