キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉


「…………っ」


それが本当なら、すごく嬉しい。

安堂くんがあたしを運んでくれたなんて。


「それに!あの安堂くんが病院に来たんだよ!これはやっぱり、愛の力だと思うね」


得意げに話すナッチに首を傾げる。


「……びょういん…?」

「あれ……?知らない…?安堂くんの病院嫌いのこと。中学の頃、骨折してても病院には行かなかったって話」


ナッチの言葉に、小さく首を振る。


「……病院、お母さんが亡くなった場所だから、って。安堂くん、病院だけは嫌いなんだって、話で…」


ナッチの声が徐々に小さくなる。

知らなかった。

お母さんが亡くなったって話は知っていたけど、そんな話は知らなかった。


「じゃあ、もしかして、あのことも――……」

「知枝里ー!景山先生来たよー!」


ナッチが何かを言いかけた時、病室のドアが開いた。

なべっちが景山先生を連れてきた。


「小林、大丈夫か!?」


景山先生がやってきて、あたしの顔を覗いた。


「こんなにやつれて!お前がそんなに根詰めて勉強していたんなんて私は知らなかった!!」


景山先生が、あたしの顔を見て、目尻を拭う。

そんな景山先生に、ナッチと二人顔を合わせて、小さく笑った。

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