キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉


学校ではなかなか会えなくても、家では会えた。

だから、これは俺の思いすごしであると自分に言い聞かせていた。

高校2年生になる頃には、学校では全くと言っていいほど顔を合わせなくなった。

声も、授業中にしか聞けなくなった。

呼んでも、絵梨は屋上には来てくれなくなった。

それと比例して、だんだんと俺も大人になっていった。

これが意味するもの。

絵梨が俺に言いたかったこと。

入学当初、話しかけないでと言われた意味。

俺は絵梨のことが好きなはずなのに、絵梨のことを全然理解していなかった。

絵梨の夢は、教師になること。

その夢が叶った絵梨は今、きっと未来に明るい希望を抱いている。

なりたかったのは、俺だけの“先生”じゃない。

絵梨は“みんなの”先生になりたいんだ。


そして、今。

なったんだ。


終わりは近いと感じた。

このままだと俺の存在が、絵梨の夢を壊すだろう。


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