キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
結果、全てが叶ったわけじゃない。
顔を合わせて、数か月ぶりに話をした。
ただそれだけ。
相変わらず怒った顔をしていた。
俺にはいつも怒った顔しか向けてくれなくて、笑って欲しくてバカばっかりした。
それでも笑ってくれないアイツ。
他の男の前では簡単に笑うアイツ。
それを見た瞬間、全てを傷つけたくなった。
ブッ壊してやりたくなった。
強引に手に入れようとして、拒否られた。
結果、俺が傷ついた。
顔も見たくないって叫ばれた。
泣かせたくなかった。
……なのに。
頬を伝う涙を見た瞬間、何もできなくなった。
他の女がいくら笑ってくれたって、何も意味はない。
他の女、笑わせるのが得意だったって、何の意味もない。
顔を合わせたと同時に、あの頃の自分を思い出して苦しくなったけど、でもそれでも嬉しかった。
一歩前に進めた。
クラス会、何で来なかったのって怒っていたアイツが、すごく愛しくなった。
だから俺も、チェリーちゃんのために出来ること、なんでもしてやりたい。
「委員長ー、ちょっとお願いがあるんだけど」
借り物競走の委員長は、前にアンドーと噂になった1組の女だった。
女は慣れ慣れしく話しかけた俺に怪訝そうな顔を向けた。
「…なに?」
おお怖。
眉間に刻まれた不機嫌なしわ。
アンドーの隣を歩いていた時とは別人だ。
「借り物競走でさ、小細工させてよ」
「はぁ?そんなの出来るわけないじゃん。何言ってんの?」
……可愛くねー女だな。
好きな男の前だけで猫かぶるタイプ?
これじゃアンドーにフラれちゃうのも分かるな。
「委員長にとって、悪い話じゃないと思うんだけど」
こそっと耳打ちをした。
アンドーの元カノちゃんを自分のものにしたいんだ、って伝えた。
チェリーちゃんが誰かのものになれば、きっとアンドーを落とせる率、上がるんじゃないの?と囁いた。
女はコロッと態度を翻し、俺の提案に簡単にノッかった。