キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
いつも他愛もない話をする。
昼休みは決まって、顔を合わせる。
約束なんかしていないのに、気付けば傍にいる。……不思議。
本屋を目指しながら、あたしはふいにそんなことに気付いて桜田くんへと視線を向けた。
その視線に気づいてか、「ん?」とした顔をする。
あたしはそれに頭を振る。
桜田くんは「そ?」と微かに笑う。
言葉がなくても、通じ合う。
自動ドアをくぐって、本屋の奥を目指した。
参考書が置いてあるエリアには、制服姿の人達がちらほら。
その横顔はみんな真剣。
「すげー!なんかみんな“べんきょーしてます!”って感じ!」
「桜田くんもそうなるためにここに来たんでしょ。えーっと、あたしが使ってるのはー…」
ラベルの上、滑るように視線を動かすと、
「………!」
ふいに、視線は本棚を飛び出して、本棚の角に立つ人へと到着した。
ごく、と喉が動く。
「あった?チェ…」
「っ!!」
咄嗟に、その言葉を遮って、あたしは桜田くんの腕を引いた。
「え…!? どうした…?」
「いいから!ちょっと、こっち!」
最大限に声を押し殺し、こそこそとその場を去った。
「えぇ!? なになに!?」
慌てる桜田くんは無視して、二人で本棚の後ろに隠れた。
「ちょっと、どうしたの」
桜田くんが怪訝そうにあたしを見下ろす。
あたしは無表情のまま、ふるふると頭を振った。
「なに」
「あっ…っ」
桜田くんが、あたしの体を押しのけてさっきの場所を覗きこんだ。