キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
2学期が始まって1週間後に学校に行った。
昼休み、教室にいる俺を見て、それぞれが勝手な予想を口にしていた。
別れたという言葉が、他人の口から零れる度、それが現実としてのしかかった。
小林の家まで行った時、心は抱きしめてしまいたいと叫んでいたのに、きちんと決着をつけていないのに、戻ることなんて出来ないと思った。
あの瞬間から、一人、時計の針が逆行している。
時間は待ってはくれない。
止まってなんかくれない。
嫌でも夜が来て、朝が来て。
1日1日は進んでいく。
学校は思いのほか退屈で、それでいて酷く輝いて見えた。
できるだけ真っ直ぐに、視線は動かさなかった。
視界には入れないようにと、心掛けていた。
色んな噂が飛び交って、サクラダとの関係が嫌でも耳に入ってきた。
…いや、今までならそれでも全く気にならなかったはずなのに、その名が聞こえると意識がそこに向く俺がいた。
サクラダとの噂。
サクラダとイイ感じだとか、
もう、付き合ってるんだとか。
噂ほど信憑性のない話はないし、噂に躍らされている奴らは馬鹿だって思ってた。
だけど、あの時。
平然を装う自分がいた。
“装う”なんて。
そんな自分をも嘲笑いたかった。
気づいたらサクラダの元に出向いてた。
元カレ面して、偉そうなこと言って、そして打ちのめされた。
『手、離したりしないから』
その言葉に、平静を装うことさえ出来なくなった。
小林が幸せなら、それでいい、……なんて。
やっぱりそんなの、綺麗事だ。
手を離したのは俺。
この選択をしたのも、俺。
サクラダの真っ直ぐな言葉が痛かった。