キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
04.1ヶ月と3年間。
安堂くんと仲良く(!?)なってから1ヶ月。
初秋だった季節も、もう立派な冬になっていた。
「さっむいねぇ…、知枝里?」
クリスマスまで1ヶ月。誕生日まで1ヶ月。
彼氏のいないクリスマスと誕生日は16回で充分だ!!
「え、あ、なに!?」
「なんて本、読んでるの?」
「えっ!?」
“1ヶ月で彼氏が出来る本”
“1ヶ月でくびれの出来る本”
“1ヶ月で……”
「いや、その、これは…!」
なべっちの前から、広げていた本を慌てて隠す。
どうやらあたし、おかしいんだ。
猛烈に、何かがおかしいんだ。
怒りの矛先でしかなかったはずの彼の言動に、どうやらあたし、ほだされ始めている。
すがるような姿を可愛いって思っちゃったし、お弁当だって一生懸命作っちゃってるし、……何より。
(あたしのファーストキス……っっっ)
何をホントに、ぶちゅっとヤラれてるんだ。
逃げられただろ!
いや、されるなんて思わないだろ…っ!!
(経験ないのに…っ!!!)
少しでも気が緩むと、すぐにあの時の感覚が蘇る。
蘇ると必ず、真っ赤になってしまうので、精神の統一を図って思いださないようにしている。
「と、とにかく!もうロンリークリスマス兼ロンリーバースデーは卒業したいの!」
本を揃えながら、平然を装った。
「確かに毎年女ばっかのクリスマスは嫌だもんねぇ?」
「でしょでしょ」
「それならさ、今年はガールズクリスマスは廃止にしよっか?」
「……え゛?」
突然の提案に固まる。
「ちゅ、中止…!? それを今、決めちゃう…!?」
今はまだ11月24日。
クリスマスまで、あたしの誕生日まで、まだ、1ヶ月はあるのに。
「実はねー…、知枝里に言えないでいたんだけど」
「……あっ!!!」
なべっちの、右手の薬指にキラリと光るリングがあった。