キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
でも瞳は笑っていなかった。
いつも見せる顔とは全然違う、大人びた顔だった。
「……チェリーちゃんのお陰で、俺もようやく踏ん切りがつきそうだ」
「え……?」
「チェリーちゃん。ありがとう」
「……!」
ポンポンっとあたしの頭を叩いて、桜田くんは歩いて行った。
ポケットに手を突っ込み、遠ざかるその背を見つめた。
忘れられない想いこそ、一番の悪だ。
前に進めなくさせる、呪縛の鎖。
苦しくて、もがけばもがくほど、その鎖はきつく絡まり、締め付ける。
その鎖を断ち切れるのは、あたし?
安堂くん?
それとも他の誰かなの…?