キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
そこまで紡いでハッとした。
この学年で、彼氏にしたいNo.1の、男は誰だ!?
3年も美人でオトナな先生と付き合っていたのは、誰だ!?!?
そんな事実を思い出して、偉そうに雄弁垂れていた自分が恥ずかしくなる。
そそくさと雑誌をしまうと、どうやらあたしが気付いたことに気付いたらしい安堂くんがおもむろに言った。
「そういうの、信じてるから彼氏出来ないんじゃない?」
―――――――ガンッ!
「そんなはっきり言わなくたっていいじゃない~~~っ!!」
お弁当を脇に置き、無表情な安堂くんの胸ぐらをグラグラ揺らす。
恋が出来なくて、親友には彼氏が出来て、あたしには彼氏が出来なくて、安堂くんは死ぬ程モテて、あたしは死ぬまでモテなくて、きっとこのまま干からびる、高校の生きた化石になってしまうんだ。
「きっとこのまま、あたしはきっと生きた化石になるのよ~~…!!!」
安堂くんの胸倉を掴んでいた手を離して、冷たい地面に泣き付いた。
「……生きた、化石?」
安堂くんが疑問符を投げ掛ける。
「なにそれ?」
「………っ」
その澄ました顔にイラッとした。
はいはいはい!
そうでございますよね、なんたって学年No.1の男ですもんね!
生きた化石になる可能性なんて1ミクロもないですもんね、現にもう彼女いましたしね!
あたしは怒りも悲しみも全部吸い込んで、真正面から言い放った。
「高校3年間、一度も彼氏が出来なくて、い…一度もえっちしないまま卒業しちゃう女子を指す言葉よ!」
そうよ、最初から男子は化石にならないのよ!
あたしは必死に頑張ってるのよ!
生きた化石になりたくないから!!
「……アホくさ」
「―――――!?!?!」
涙ながらに訴えたあたしの言葉を全て聞いたあと、安堂くんは鼻で笑った。
「あ、あほくさ……!?」
「そ。女子ってホント、アホくさい」
「あんたねぇ、ちょっと自分が先行ってるからって、付き合ったことがあるからって、…あんたねぇぇ…っ!!!」