キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
それから、まだ30分。
安堂くんはまだそこに佇んでいた。
ガタガタと震えながらも、あたしは必死に待っていた。
安堂くんが帰るのを。安堂くんがこの教室から居なくなるのを。
(でも、もう限界…っ!)
辺りは真っ暗だし、このままだったら絶対寒すぎて死んじゃう。
覚悟を決めて、教室に入ることにした。
「ふぁ、よく寝たぁ」とか言って、今起きたことにして教室に入る。
あれ、安堂くん。教室に残ってどうしたの?とか言って。
それならあたしが見てしまったとバレることもないし、安堂くんがフラれたことを知ってるともバレないし。
(よし!ナイスアイデア!)
自画自賛で作戦決行を決意した。
「ふわぁ…!」
大袈裟に、教室の中でセンチメンタルに浸っている安堂くんにも分かるように、両手を空高く突き上げてみた。
気付いたかしら?
気付いてくれて、目尻に浮かんだ涙でも拭ったかしら?(泣いてるか知らないけど)
「寝過ぎちゃったかなぁ」
わざと大袈裟に言ってみた。
手の平で口を叩いて、教室に繋がるドアへと向かう。