キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
「知枝里?どしたの、最近元気ないよ?」
「…………、」
あれから一週間。
時は飛ぶような速さで進んでいる。
「…え、そんなことないよ?あたし、めちゃくちゃ元気だよ。彼氏もめちゃくちゃ募集中だよ」
ニコッと笑って、なべっちに応える。
クリスマスを2週間後に控えたなべっちは、ますます女に磨きがかかっていた。
あの日から、安堂くんと一度も、話をしていない。
次の日、せめてもの罪滅ぼしにと思って、安堂くんの好きなおかずを詰め込んだお弁当を作った。
あんな顔してタコさんならぬイカさんウインナーがいいって言うし(10本に切る方の身になりやがれ)、卵焼きの味付けは絶対砂糖だし、おにぎりもワカメご飯にのりたまにしそに…ってワガママだし。
それに第一、唐揚げなんて安堂くんのために初めて作ったんだから。
それを抱えて、いつものよりも早く、屋上の傍の階段で隠れて待っていた。
「昨日はごめんね」って謝って、その日もまた、一緒にお弁当、食べられると思っていたのに。
――――昼休みが終わっても、安堂くんはやって来なかった。