キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
高2の秋。
ベランダに閉め出しを喰らったと、噂になった女がいた。
(……マヌケ)
でもその時は、他の奴らみたいにその噂話に乗っかることも出来なくて、ただぼんやりと過ぎ行く日常の中にいた。
「あ、安堂くん…っ!」
休み時間。
クラスメートに声を掛けられた。
一度も喋ったことのない女。
顔もうる覚えで、周りにいた男子が「お、小林どうしたんだよ~」と言っていたので、この人の名前が“小林”であると知った。
(…この人が…)
その日、時の人となっていた、ベランダに閉じ込められた女だった。
それがほんの2ヶ月前の話だ。
なのにこの女ときたら…。
(ちょっと頼りにしただけで)
「たーんとお食べ」
とか言って、母親面をしてやがる。
うどんの中に、丸々一本のウインナーってなんだよ。って思ったけど、これは結構…。
(ありかな…)
だからって二食連続でウインナーうどん。
あんなことがあった後なのに、この女はひょうひょうと、人の家に泊まると言っている。
(……これだから処女は)
ちなみに言うと、彼氏もいたことのない奴は。