キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
雑誌とか、そういうことを経験している友達とかからは、そういうことは焦らなくていい、って言われるけど。
実際こうも周りのみんなが経験していくとなると、焦らずにはいられない。
でも、焦ったところでどうにかなるようなことでもない。
彼氏がいるなら焦ることも出来るけど、そういう関係になる彼氏さえもいないんだ。
(ついでにいうと好きな人さえも…)
だふっ、とベッドに顔を埋めた。
この悩みは同じ立場の人にしか絶対分からないだろう。
だからこそ、絶対アイツに分かるはずないんだ。
美人で年上のあの先生と付き合ってた男には!
本棚の隅にちょこんと置いた、1ヶ月で胸が大きくなる本を睨んだ。
先生のこと、泣くほど好きなくせに、アイツは手が早い。
あたしにキスとかしてきたし、この前も…、この前も…!
安堂くん家で着替えた時は、ドタバタしていて気付かなかった。
帰ってきた日の夜、お風呂の中で気付いた。
『あ゛ーーーーーーーーー!!!!』
やっと消えたあの痕が、またもや1つ。
しかもこの前よりも真っ赤に腫れていて、発狂せずにはいられなかった。
安堂という男は、顔は彫刻みたいな人形みたいな綺麗過ぎる顔をしているくせに(学年で彼氏にしたい男No.1のくせに)、裏ではエロで先生と付き合ってて甘えん坊で寂しがりやでお弁当への注文も多くて、でもそのくせ全部食べてくれる、…そんな男だ。
(って、やめやめ!安堂くんのことなんて考えるのやめやめ!)
一人、顔の前で手を振り、カタカタと北風に揺れる窓を見つめた。
そういや予報では、明日は雪だった。
明日が雪でも嬉しくない。
やっぱり雪はクリスマスでなくっちゃ!
…でも。クリスマスが雪でも関係なかった。
あたしはどうせロンリークリスマスだったんだから。
言っていて悲しくなったので、今日はもう寝ることにした。
アイツは今日はお父さんいるのかな。
さすがに年末だし、いるよね。
ひょうひょうとしているくせに、裏では凄く寂しがりやだから。
また消えちゃいそうな背中をしてるんじゃ、ないか……
って、やめやめやめ!!
(もう寝るんだってば!)
自分に言い聞かせて、ベッドの中に潜り込んだ。