恋は理屈じゃない
お姉ちゃんのためにも、今すぐ笠原さんに会いたい。
焦りながら笠原さんの居場所を詳しく聞こうとした矢先、速水副社長に聞かれる。
「それで明日、日帰りになるが笠原に会いに行こうと思う。鞠花ちゃんも一緒に行くか?」
本当だったら当事者である、お姉ちゃんと笠原さんが直接話し合うのが一番いいはずだ。でも妊娠中のお姉ちゃんに長距離移動はさせたくないし、もし話し合いがうまくいかずにショックをうけたら?
まず始めに私が笠原さんと会った方がいい……。
「行きます!」
明日は月曜日。午後から出勤予定だけれど、一日休みをもらおう。タイミングのよさに感謝しながら、速水副社長の誘いを受けた。
「そうか。明日は朝八時十五分発の新幹線で青森に向かうつもりでいる」
「はい。わかりました」
お姉ちゃんの妊娠が発覚してから一ケ月半以上が経った今、ようやく希望という一筋の光が見えてきた。
お姉ちゃんと産まれてくる赤ちゃんのためにも笠原さんにすべてを伝えて、ふたりを結婚させるんだ……。
使命感に駆られた私は、自分自身に固く誓った。