恋は理屈じゃない
だから今までは合コンの誘いを断っていた。けれど、そんな私に、わざわざ連絡してくるなんて女子の人数が足りないのかもしれない。
「参加してみようかな」
「えっ、本当に?」
「うん。たまには仕事を休ませてもらうのもアリかなって思って」
金曜日の仕事が終わってから合コンに行って、次の日の土曜日は休みを取る。そうすれば、仕事のことを気にすることなくお酒を飲めるし、寝坊もできる。
少しくらい羽を伸ばしても、いいよね……。
「鞠花、ありがとう! 実は人数が足りなくて困っていたんだ」
「そうだと思った」
琴美とふたりで笑い合う。
「今回のメンバー、めっちゃいいんだ。医者と弁護士、それからパイロットだって!」
「へ、へえ、そうなんだ」
なんだか胡散臭いメンバーを聞き、合コンに参加すると決めたことを少しだけ後悔してしまった。でも、すごく喜んでいる琴美に向かって、やっぱり参加するのを辞める、とは言い出せない。
「合コンに来たこと後悔させないから楽しみにしていてね。詳しいことはまた連絡するから」
「うん」
琴美との通話を終わらせると、ベッドの上に横になった。
もしかしたら琴美、速水副社長に失恋した私を元気づけようとしてくれているのかもしれない。
こうなったら合コンで出会った人を好きになって、速水副社長を忘れよう。失恋を忘れるには、新しい恋をするのが一番手っ取り早い。
よし、今から気合い入れて綺麗になるぞ!
そう決意した私はフェイスパックをしながら、いつもよりも長めに入浴をした。