恋は理屈じゃない

目的地である光が丘駅に到着したのは、午後六時三十分。

ちょっと早く着きすぎちゃったな。これじゃあ、合コンに意気込んでいる肉食系女子みたい……。

この状況を少し恥ずかしく思いつつ、自動改札機を通り抜ける。すると背後から声をかけられた。

「鞠花!」

振り返らなくても、私にはわかる。この声は……。

「琴美!」

あっという間に横に並んだ琴美と共に笑い合うと、合コン会場であるダイニングバー・グラナダに向かって足を進めた。

「鞠花、男ウケする格好、わかってるね~」

普段よりも上品でかわいらしい洋服を選んだだけなのに……。

琴美は白いワンピースの上にレモンイエロー色のカーディガンを羽織っている私の姿を見て、軽くからかう。

「そういう琴美だって、今日はセクシー系で攻める気でしょ?」

琴美の格好は白いニットトップスに黒いタイトスカート姿。女子である私ですら、すらりと伸びる美脚に目が釘づけになってしまう。

「だって今日の合コンメンバー、医者と弁護士にパイロットだよ! 攻めて攻めて攻めまくらないとね」

「あはは、そうだね」

気合い充分の琴美がおかしくて、声をあげて笑ってしまう。

「鞠花、そんな風に大きな口を開けて笑っちゃダメだって。もっと上品に、オホホホって笑わないと」

「そ、そうなの?」

「うん」

本気なのか冗談なのかわからないことを言う琴美はさらにおもしろい。

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