恋は理屈じゃない

こんな風に考える私は、きっと合コン向きじゃないのかもしれない。

今さら合コンに参加したことを後悔し始めていると、続々とメンバーが姿を現した。全員が揃ったところで乾杯をする。そして簡単な自己紹介をすると、ようやく緊張がほぐれてきた。

「須藤さん、二杯目はなにを飲みますか?」

目の前にドリンクメニューが差し出される。

一杯目のビールもあとわずかになった私に声をかけてきたのは、芳川(よしかわ)さん。知的な印象がするのは、医者という肩書きとメタルフレームの眼鏡をかけているからかもしれない。

「ええっと……カシスオレンジにします」

「了解」

芳川さんはにこやかに微笑むと、店員さんを呼び出して追加オーダーをする。

「ブライダルフラワーコーディネーターの仕事って具体的にどんなことをするんですか?」

自己紹介の時に言った職業を覚えてくれていたんだ……。

話しやすい話題をふってくれた芳川さんの気遣いがうれしい。

「結婚披露宴会場を花で飾りつけるのがメインです。あとはブーケを作ったり、発注をしたり、色々です」

「へえ、それは大変そうだな」

「いえ、お医者様に比べたら、私の仕事なんてちっとも大変じゃないです」

「そんなことないですよ」

芳川さんと会話をしていると、オーダーしたドリンクが運ばれてきた。

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