恋は理屈じゃない
LOVE*2
別れ話は突然に
慌ただしいブライダルフェアが終わった、その日の夜。自分のウエディングドレス姿をちゃっかり写してもらった画像を、部屋のベッドの上でじっと見つめる。
結構、よく撮れているよね。私の晴れ姿を見たら、圭太はなんて言ってくれるかな?
期待を胸に秘めながら圭太に花嫁役を引き受けることになった経緯と共に、画像を送信した。
圭太から連絡があったのは、週が明けた月曜日。圭太が定時で上がれる水曜日の夜に会うことになった。そしてとうとう、約束をした水曜日が訪れる。
結婚披露宴がない日は、ホテル・グランディオ東京内のフローリスト須藤の店舗で様々な作業に関わる。今日は店舗の奥の事務所で、生花と資材の発注に追われた。
そんな一日が終わり、更衣室で着替えをしていると奥から話し声が聞こえてきた。
「ねえ、先週のブライダルフェアで、速水副社長が新郎役をしたって話、聞いた?」
「うん、聞いた!」
それって、私が花嫁役を引き受けた模擬挙式のことだ!
ホテル・グランディオ東京の社員である彼女たちの口からどんな話が飛び出すのか、興味津々に聞き耳を立てる。
「速水副社長のタキシード姿、見たかったなぁ」
「私も。絶対格好よかったよねぇ」
たしかに、白いタキシード姿の速水副社長は素敵だった。
大きくうなずきたい気持ちを押さえつつ、靴を履き替える。
「でも速水副社長、彼女いるらしいよ」
「えー、ショック! でもあれだけ格好いいんだから、彼女いない方がおかしいよね」
「まあね」