恋は理屈じゃない
LOVE*13
俺だけの花嫁になってくれ
「千歳さん、緊張してきた。どうしよう……」
不安を口にすると、彼の口ともがニヤリと上がる。
「みんなカボチャだと思え」
「プッ」
聞き覚えのある言葉に、つい小さく吹き出してしまった。
今、私と千歳さんがいるのは、ホテル・グランディオ東京内の結婚披露宴会場前。重厚な扉の向こう側には、招待客が待ち構えている。
「大丈夫だ。鞠花は世界一美しい花嫁だ。その鞠花を世界一愛している新郎の俺が隣にいるんだ。なにも心配することはない」
「そうですね」
「ああ」
恥ずかしくて、そして頼りがいがある千歳さんの言葉を聞くと、不安がすぐに消え去っていった。
「しかし、そのドレス、本当によく似合っている。綺麗だ」
千歳さんはビスチェタイプの純白のウエディングドレスを身にまとった私の姿を見て、瞳を細める。
「千歳さんも素敵ですよ。とっても格好いいです」
シルバーグレーのタキシード姿の千歳さんを褒めると、彼は誇らしげに胸を張った。
「まあな。俺はなにを着ても似合うからな」
「そ、そうですね」
自信満々な千歳さんの言葉がおかしい。クスクスと笑っていると、マリッジリングが光る彼の左手が頬に触れた。