恋は理屈じゃない
「やはり鞠花は笑顔が似合う」
「千歳さん……」
「この先もずっと、その笑顔で俺を支えてくれ」
「はい」
先ほど挙式を終え、晴れて夫婦になった私たちがお互いの瞳を見つめながら微笑み合っていると、結婚披露宴会場の扉が開いた。
千歳さんと共に頭を下げて挨拶をすると、足を進める。スポットライトのまぶしさに目が慣れてくると、招待客の姿がハッキリと見えてきた。
後方出入り口近くの円卓の席には、千歳さんのご両親と親族の方々。そして私の両親と姉夫婦と娘の撫子ちゃんの姿が見える。撫子ちゃんは先月二歳になったばかり。その名の通り、紫がかったピンク色のミニドレスを着た撫子ちゃんはとても愛らしく、二人目を妊娠しているお姉ちゃんの瞳には薄っすらと涙が浮かんでいるのが見えた。そんなふたりを見守るのは、義兄の笠原さんだ。
そう言えば『俺が笠原の義弟になるのか……なんだか複雑だな』と千歳さんが言っていたっけ。たしかにそうだよね……。