恋は理屈じゃない
理屈では説明できない私たちの縁を感慨深く思いつつ結婚披露宴会場を進んでいると、琴美と視線が合った。琴美は私が初参加した合コンで知り合った弁護士の彼と、イイ感じにお付き合いしているそうだ。挙式で私がトスしたブーケを見事キャッチしたし、もしかしたら弁護士の彼とゴールインしちゃうかもしれないな……。
親族と友人に知人、そして仕事関係でお世話になっている方々が見守ってくれる中、千歳さんからのプロポーズを思い出す。
『俺だけの花嫁になってくれ』
彼からそう言われたのは、今から一年前。また模擬挙式の花嫁役を頼まれたのかと思い、キョトンとしたっけ……。
でもすぐにその言葉の本意を理解し、感動で震えながら「はい」とひと言返事をした。
将来、グランディオグループの社長夫人という大役が、私に務まるのか不安がないと言ったら嘘になる。しかし私には意地悪で優しい素敵な旦那様が傍にいてくれるから、どんな苦労だって乗り越えられる。
千歳さんの本当のお嫁さんになった私は鳴りやまない祝福の拍手に感動しながら、彼と共に幸せを噛みしめた。