恋は理屈じゃない

最近、制服のパンツのウエストが少しきつくなったような気がするんだよね……。

このことは内緒にしつつ、速水副社長に反論する。

「副社長こそ、あれくらいで筋肉痛になるんだったらジムに通って鍛えた方がいいんじゃないですか?」

ムキになって言い返すと、速水副社長は大きく口を開けて笑い出した。

「あははは。ダイエットした方がいいと言ったのは冗談だ。女の子は少しぽっちゃりしている方がかわいい」

ぽっちゃりを肯定する速水副社長に驚く。

「……副社長って、ぽっちゃりさんが好きなの?」

「大抵の男はそうだと思うがな」

「へえ、そういうもんですか」

二の腕やお腹に太もも、痩せたい部分をあげ始めたらキリがない。でも速水副社長の言う通り、多くの男の人がぽっちゃりを好きだと思っているなら、少し安心だよね……。

いい情報を聞けたことに満足していると、速水副社長が意地悪なことを言い出す。

「鞠花ちゃん、デブとぽっちゃりは紙一重だ。せいぜい気をつけるんだな」

「……っ!」

コロッと態度が変わる速水副社長が憎らしい。唇を尖らせながら速水副社長の顔を見上げると、彼の大きな手が頭の上に乗った。

「そんなに拗ねるな」

「べ、別に拗ねてませんからっ!」

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