恋は理屈じゃない

高校時代から圭太と付き合っていた私は、合コンというものに一度も参加したことがない。合コンがどんな感じなのか興味はあるけど、仕事のことを考えると尻込みしてしまう。

「私は遠慮しておく」

「どうして?」

「ブーケの作成に追われる金曜日の夜にお酒飲んだら、次の日の朝早く起きられる自信ないもん」

「あ、そうか。土曜日は鞠花仕事か」

「うん」

運ばれてきた仔羊のローストとペスカトーレを取り分けていると、琴美が二杯目のグラスワインをグイッと飲み干した。

「でも鞠花さ、人の幸せのお手伝いばかりしていないで、たまには休み取って楽しもうよ」

「うん。そのうちね」

「絶対だからね」

「うん」

私もグラスワインを飲み干すと、お代わりをオーダーする。お酒は強くないとわかっていても、琴美と過ごす時間が楽しくてついつい飲みすぎてしまった。

その結果、足もとがふらつくほど酔ってしまい、琴美にタクシーで家まで送ってもらうことになったのだった。

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