恋は理屈じゃない

「ひえ~。そんなことになっていたんだ。ビックリ!」

「うん。私もビックリだよ」

話の途中で運ばれてきた料理を食べつつ、アルコールメニューをふたりで見つめる。ココナッツミルクをたっぷり使うという説明が書かれたチチを追加オーダーすると、話を続けた。

「でもお姉さんと別れたのに遊園地のチケットをもらうなんて、鞠花、副社長にかわいがられているね」

「そうなのかな……。かわいがられているというより、からかわれているって感じがするけどな」

私をからかっておもしろがる、速水副社長の顔が頭に浮かぶ。

意地悪されているのに速水副社長のことを嫌いにならないのは、どうしてだろう……。

自分の気持ちがわからずに首を傾げていると、追加オーダーしていたチチがテーブルの上に置かれた。グラスの縁に添えられたパイナップルとレッドチェリーが真っ白な液体によく映える。

「ねえ、鞠花。私とは休みが合わないから、副社長と一緒に遊園地を楽しんできなよ」

チチを口に含んだ途端に聞こえてきた琴美の言葉に驚き、ケホケホと軽く咳き込んでしまった。

「だ、だって副社長は友だちを誘え、って言ったんだよ」

私とは違ってスマートにチチを飲んでいる琴美を見つめる。すると彼女の熟れたイチゴのような色をした唇が意味深に上がった。

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