PINKY


俺が発したその言葉は、


周りの空気に流されて消えていくはずだったのに


その言葉は


相手の耳に届いたらしく


その女は振り返った。



振り返った女は


ものすごい引きつった顔をして


今にも逃げ出しそうだった。



案の定


俺の顔を確認したのか何なのか


女は振り返り俺等が来た道を走り出した。


だけど、逃がしたくなくて


俺は走り出す女の腕を掴んだ。



「隼人どーしたのー?」


ダチの声。


ここで知らない女の腕を掴んでる俺は明らかに変。


咄嗟の言い訳


「ごめん。ちょっとこの人気分悪そうだから俺ついてくわ。」


「隼人くん優し-!」


 明らかにからかってる声と


「えー隼人いなきゃつまんないじゃーん」


 可愛子ぶってる女の声


しょうがないから嘘でカバーする。


「ごめんごめん。また今度埋め合わせするから。」


そんなことを言うと、


納得したのかまた周りの奴と他愛のない話をし始めた。


周りの奴も俺のことなんて気にもせず


いつものように話始めた。



俺が掴んでる女を見る。


女は俯いてバツの悪そうな顔をしている


俺が先に口を開いた


「委員長??」


俺が聞くと女は俺の顔を見た。


そしたいきなり


「放して!!」


そう言って俺の手を振り払い


隙もなく走り去った。

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