クラッカーにはご用心
「施設……は、サツがガサ入ったんやな。」


「その後、子供達のことを考慮して、既に他の経営者に任せた。」



楮筬が目を光らせていた、魅園という名の隠れ蓑はもう無い。



「昔の家はどーなん?」


「今はショッピングモールだ。」



涓畤壟の帰巣本能よろしく想像した蜜穿が両親と住んでいた家付近は、現在開発が進んでいてかなり様変わりしている。



「せやったら廃工場やろ。」


「他の業者が買い取って、取り壊し中だ。」



行くとなればそこしかないと鰍掩は思ったが、取り壊しなら雨風さえ凌げない。



思い当たる節を皆で言い合いハニカムを構築するが、すぐさまどれも違うことが判明し、崩れ去った。



何故ならハニービーでの捜査時に、荊蜻が廓念会関連以外の蜜穿の身辺を一通り調べた為だ。



「バイトの仲間のところってゆうんはないん?」


「日雇いやスポットやゆうてたから、遊んでも家ゆーんは厳しいんちゃう?」



碑鉈の考えも、剣は無さそうだと思う。



魅園でも、昔の家でも、


廃工場でも、バイト仲間でもない。



殊犂の頭の中で鳴る警鐘が示唆したのは、蜜穿の性格上考えられる最悪の状況。
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