クラッカーにはご用心
「おう、かっきー、今電話しよう思おてたんや。」


「うちはあんたに用は無いんやけど。」



殊犂が飛び出した後、柿蒲が顔を出した。



「俺やないわ!蜜穿んことで」


「蜜穿様ならここにおるけど?」


「え?」



不思議そうに言う柿蒲の後ろには、紛れもなく蜜穿がいた。



「うちもあんたに用は無いわ。ひなさん、コーヒー1つ。」


「え…、ぁ、はい。」



何事も無くいつものようにコーヒーを注文する蜜穿に、碑鉈は思わず返事をした。



「ど、どないしよ…」



「ことりは勝手に出て行ったんや、放っとけばええ。」


「そや。本人ここにおるんやさかい、じきに戻ってくるやろ。」



まるで自分のことのように頭を抱え狼狽える涓畤壟に、鰍掩と楮筬は冷静に言った。



「電話番号知っとんのやろ。連絡したらええんとちゃうの?」


「それや!!」



「な、なん?意味分からんわ。」



剣の提案に涓畤壟は大きな声が出てしまい、柿蒲に睨まれた。



「ごちそうさま。」



「え?蜜穿もう帰るんか?バ、バイトか?」


「ちゃうけど。コーヒー飲み終わったんに、長居する理由ないわ。迷惑やろ。」
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