クラッカーにはご用心
「そ、そりゃそうやけど……」



確かに長居は迷惑だが、涓畤壟にとって今はそれどころではない。


最も、蜜穿の長居なら剣も碑鉈も文句など言わないが。



「やったら、そこどき。出られへん。」


「ち、ちょ待ち!コーヒーもう1杯どうや?俺奢るで!」



「は?別にいらんし。ちゅーか、さっきから何なん?」



すぐ戻る。


涓畤壟から連絡をもらった殊犂は、それだけ言って切った。



同情した訳ではないが、不器用な殊犂と鈍感な蜜穿には自分がキューピッドにならなければ!


とか何とかかんとか、涓畤壟は2人に対して変な使命感を持ってしまっていた。



「そういや、体調はどうなんや?」



鰍掩は助け船を出した。


何を話したか知らないが涓畤壟が必死に引き留めているので、殊犂は戻ってくるのだろうから。



自身も気になっていたこと、時間稼ぎにはもってこいだ。



「ん?ああ……、なんや聞いとらんのか?」


「誰からや?お前のことは何も聞いとらんで?」



叡執や廓念会については警察から聞き出したが、蜜穿自身のことは警察から聞くことではないし話題にもならなかった。


従って、何も知らない。
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