クラッカーにはご用心
「うちのこと以外は知っとる口振りやな。………病院で肺炎の治療しとったんや。」


「治療やと?」



「金無いからええゆうたんやけど、捜査協力ちゅーことでの特別謝礼やゆうてきかんさかい、有り難く通院させてもろうたわ。」



あれから放置していた為、思った以上に症状が悪くなっていた。


加えて、叡執からの長年の暴力で出来た痣や傷もついでに治療することとなったのだ。



クラウドの説明中、時折咳き込む蜜穿を見ていられなかった掎蹟の考えによるもの。


逮捕すれば医療刑務所などがあるが蜜穿の場合それが出来なかったので、便宜上の名目として謝礼になった訳だ。



「入院やのーて通院?家はどないした?」


「病院に近い警察署の仮眠室使こおてええゆうから、そこで寝泊まりしとった。新しいとこは、今探し中や。」



肺炎は薬で完治し、痣や傷はほとんど目立たないまでになっている。


仮眠室をいつまでも使ってられないと、しかし、ちゃんと治ってから探し始めた。



「けど、病院ゆうても、お巡りさんと同じとこやで。お巡りさんは安静にせなあかんって聞いたから1度顔出した程度やけど。」



蜜穿なりに気を使ったらしい。
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