クラッカーにはご用心
「……もおええか?納得したやろ。うちは帰んで。」


「ちょ、ちょっと待ち!」



「何や?まだ何かあるんか?」


不自然に引き止めたがる涓畤壟を、不思議そうに見る。



「飴魏蜜穿!!」



「ことりちゃん!間に合うた!」


その時、殊犂が息を切らし駆け込んできた。



「お巡りさん、どないした?そない急いで」


「良かった………」



殊犂は蜜穿を抱き締めた。



人目があるとか、特に鰍掩達がいるとか、そんなものは関係なくて。



ただ、生きていてくれたことが嬉しくて。



「お巡りさん……、理由も無くいきなり抱き締められても、うちどないしたらええんや?」


「え……?ぁ、す、すまない…」



鰍掩達も雰囲気的に口を挟まなかったのだが、蜜穿はかなり冷静だった。



「ちゅーか、間に合おうたって、うちを邪魔したんはお巡りさんが理由か?」


「いや~えーっとやな~、その~………はい、そうです。」



真っ直ぐ見つめられ、涓畤壟は思わず敬語になる。



「なんやねん。大体お巡りさん、あんた入院中やろ。」



急所ではないとはいえ銃で撃たれたのだから、自分より症状は重いはずだ。
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