クラッカーにはご用心
「この間のボヤ、きゅーさんの近くやったんやて?大丈夫やったん?」



蜜穿の件が一段落した数ヶ月後の店内で、心配そうな碑鉈の声が聞こえる。



「大丈夫やったで。原因はトラッキング現象らしいて、お古は気ぃ付けなあかんわ。」


「酒もあかんな。スピリタスなんか、アルコール度数高いし、火気厳禁やさかい、その側で煙草なんか吸ったら一発で火事や。」



「ほんまやね。最初は、灯油やガソリンや臭いがした放火やゆうて情報が錯綜しとったみたいやし。原因分かってホッとしたなぁ。」



誰の身にも起こる事、ボヤ程度と侮ってはいけない。



「ほんま、そう!俺もめっちゃ悩んだんや!練炭や七輪で自殺か?ピロマニアちゅー快楽的連続放火犯やったら、地理的プロファイリングの円仮説で導き出さなあかん。マッドサイエンティストの実験で起こった突沸やったら、誰か突き止めなあかん。ほんまに、悩んで悩んで悩みまくっとったんに。ようやくゆっくり寝れるで!」



またまた深夜番組の影響らしい。


色々なことが混ざっている上に、意味を正しく理解していないので支離滅裂だ。



ただもう、涓畤壟の力説っぷりに、誰も突っ込もうとはしなかった。
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