クラッカーにはご用心
「ほな、わしはそろそろ。天気ええし、獣象はんとこの縁側で将棋でも指そかいな。」


「ウチの会長も誘ったって。あの人出不精やさかい、こないな快晴でも家か事務所におるやろ。」



「任しとき、ほなな。」



返済の用を済ませた張匆は、獣象と煎曽の元へ将棋をしに帰って行った。



「隗赫鰍掩っ!!」



「おっ!ことり、今日も元気やな。」



「元気過ぎるわ、扉壊れんで。ひなさん、コーヒー2つ。」


「はーい。」



お馴染みの呼び声と共に開かれる、あまり丈夫そうではない扉の心配をしなければならない。


殊犂の気持ちを代弁するかの様な強い力である為だ。



「ちゅーか、ことり。お前もしつこいやっちゃな。蜜穿んことは黙認して見逃したくせして。」


「……公私混同はしない。貴様の場合、現在進行形で証拠があるだろう。さっきも貴様の客に会ったんだからな。」



張匆のことを言っているようだ。


確かに生き証人で、簡単に抹消出来る蜜穿自身の証拠とは異なる。



「も~。ことりちゃんは手厳しーなぁ~」


「諦め、殊犂のしつこさは世界一や。」



言わずもがな、苦笑する蜜穿が一番良く分かっている。
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