クラッカーにはご用心
呆れる蜜穿にも構わず、柿蒲はニコニコと続ける。



「それに、下着姿までになってことりっち助けようとした蜜穿様もかっこええし、憧れるわ!」


「血まみれのジャケットまで着れるんやからな。おアツいこっちゃ。」



柿蒲は目をキラキラさせているだけなので、にやけ顔の涓畤壟を殊犂は睨んだ。



「うちが危険な目に遭っとったら、かしゅー様もことりっちみたいに助けに来てくれる?」


「そん時にならんとな。まぁ俺は、撃たれるなんてヘマせーへんさかい。」



「ほんまに!嬉しー」



目がハートの柿蒲には悪いが、鰍掩との想いの差がありすぎる。


現に鰍掩は柿蒲ではなく、ニヤリと勝ち誇ったかのように見て、殊犂も睨む相手を鰍掩に変えた。



飽きるほどに同じ言い合いを繰り広げる殊犂を、蜜穿はボンヤリ見つめる。





生きている意味なんて、生まれてきた理由なんて、探したってどこにもなかった。



親の都合で産み落とされ、生を受けただけなのだから。


自分で作り出すしかないのに、それすら奪われて。



最期の時こんな人生で良かったのかと、普通の人はきっと悩むのだろうけど。


自分はそんなことは無くて。
< 115 / 122 >

この作品をシェア

pagetop