クラッカーにはご用心
「こ、これは………」


「服に、パソコンに、本。下着まであるわ。ことりちゃん、これは完全に職権乱用やで。」



キャリーバックの中身………、『ブツ』はどこにもなく、蜜穿の私用の物ばかり。



「ちょっとことりさん!女の子のカバンをいきなりひったくって中身を見るやなんて、いくら警察でも失礼やありませんか?」


「ひなー。落ち着き、な。」



殊犂へ食ってかかる碑鉈を、どうどうと剣はなだめる。



「し、失礼しました!」


「別にええけど。見られて困るようなもん入っとらんし。それよりお巡りさん、このおっちゃんの金スッた奴、早よ捕まえてあげなあかんのとちゃうの?」


「了解しました。厩鳬張匆といったな、署まで来てもらうぞ。」



「ことりちゃん、しっかりなー」



張匆を連れて殊犂は署に戻っていった。



「えらい熱心なお巡りさんやね。」



「理由知っとるやろ。あれは東京から来た警官やしな。」


「東京……なるほどなぁ。」



鏨畏建設は、大手ゼネコンを従えるデベロッパー。


しかしその実態は、薬の密売を行っているとして、厚生労働省の麻薬取締官(通称マトリ)が内偵捜査中の企業である。
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