クラッカーにはご用心
その売上金は廓念会の資金源、その裏にいると噂がある代議士の活動資金にもなっているらしい。



殊犂も上司などから話を聞き、これだからヤクザはと軽蔑しており、警察官の邪魔をし市民に悪影響を与える暴力団を、大阪へ赴任して来た直後から鰍掩や楮筬を毛嫌いしているのはそのせいだ。



まぁ、この大阪でなければ警察には目の敵にされても仕方ない行為をしているのは鰍掩や楮筬も自覚があるので、殊犂のような態度をとられてもあまり強く出れないのは否めないが。



「大体、あない重いもん持って移動なんかしたないわ。うちは運び屋とちゃうし。」


「やっぱり持って来とったんか。どこや?」



「あんたなんかに教えるかいな。大阪に着いた時点で手放しとるわ。まっ、嗅覚は麻薬探知犬並に鋭いみたいやけど。」



ガサ入れ直前に東京から大阪へ蜜穿に運ばせたようだが、もう手元には無いらしい。



「それよりお姉ちゃん、コーヒー忘れんといてな。」


「あ、はい。つーちゃん、お願い。」



来店してから数十分、立ち話だったがようやく容疑も晴れ、蜜穿は席に着く。



鰍掩達しかいない店内で、特に興味津々の涓畤壟からの目線を受けながら。
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