クラッカーにはご用心
「ごちそうさま。」


「お粗末様。もう行くんか?」


「ええーもっとおって下さいよ、蜜穿様。」



食べ終わったと思ったら立ち上がる蜜穿に、柿蒲は鰍掩に引っ付きながら残念そうな声をあげる。


鰍掩の嫌そうな態度はまるで無視して。



「バイトやから。」


「バイト?!なんの?」



涓畤壟は初耳だと驚く。



「短期とかスポット。今は生保受けなならんような身体の状態ちゃうしな。」



「ハッキングで稼いでるんちゃうの?」


「クラッキングや!あれは仕事やないから。」



てっきりハッキング……蜜穿曰くクラッキングなのだが、それ関係で稼いでるのだと思っていた。


蜜穿のクラッキング行為で莫大な金が動くのだから。



「バイトしようがええけど、警察どうにかせーよ。ことり一人でも鬱陶しんに増えたら面倒や。」



「ご心配なく。あんなんどーにでもなるわ。基本がなってないもんは応用もきかん。ファンタジーでも、高貴な皇帝が作り出す派手な死闘より、冷酷な賢者が静かに練った戦略の方が勝つ。ハニービーに肝心なんは、完璧なパフォーマンスや。」



水面下で既に何かしているらしく、抜かりないと笑った。
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