クラッカーにはご用心
「あんたがハニービー?偽物の。」


「ということは、本物さんか。」



蜜穿は、とある寂れた建物にいた。


1人の少女―――射唐栲袴(サトウ タエコ)と対峙して。



「まさか呼び出されるとは思ってなかった。しかもあんな方法で。」



栲袴が驚くのも無理はない。


蜜穿が取った方法は、偽ハニービーの描いたコマンドへ暗号化したものを紛れ込ませてここへと呼び出した。



「目には目を歯には歯を、みたいな。なんの目的や分からんかったからな。それ聞こう思おて。」


「目的……ね。」



ハニービーを名乗る輩は、名を借りて便乗したかったり誇示したかったりする。


そのどれもすぐに偽物とマスコミでも見破れる程度だが、栲袴は巧妙で、偽物だという判断が蜜穿本人しか出来なかった。



成り済ます意味が分からず、直接聞こうと蜜穿は考えたのだ。



「貴女、会社とか金持ちから奪ったお金を養護施設へ寄付という形で横流ししてるみたいね。」


「そうやけど、それがなんや。」



「私の施設もその恩恵を受けててね。施設の人達が有難いって喜んでたわ。」


「それはなによりやな。」



当の蜜穿は興味なさげだ。
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