クラッカーにはご用心
「まだ居たのか、飴魏蜜穿。」



殊犂は治療を終えて帰ろうとすると、何故か蜜穿が待合のソファーに座っていた。



「警察官のくせになぁーんも考えんとナイフ握る、アホなお巡りさんを見物に。」


「………用とやらがまだ済んでいないなら早くしろ。」



悪態を付く蜜穿にイラつきながらも、殊犂は先を促す。



「これ。」


「USB?」



蜜穿が差し出したのは、黄色いUSBメモリー。



「あの子が構築したプログラムを解析するもんや。うちが介入したから全部は解析出来てへんと思うで。」



「だったらこれは俺が貰っていく。お前には必要のないものだ。」


「…オイ、牟齧!」



蜜穿からUSBを受け取ろうとした瞬間、荊蜻が漁夫の利の如く意気揚々と奪っていった。



「あいつ、一体いつからいたんだ?」


「さあな。まあええわ、どのみちあやつに渡るもんやろ。」



「それはそうだが……」



また横取りされたようで、気分が悪い。



「あやつは、ほんま分かりやすい奴っちゃなー。あんたとは大違いや。」


「どういう意味だ?」



意味は分からないが、口調から馬鹿にされているような気がした。
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