クラッカーにはご用心
「この間ね、ドラマで誘拐の話やっとったんよ。」


「唐突にどうしたん?」



なんの脈絡もなく碑鉈が口にした話題に、柿蒲は驚く。



「ずっと考えとったの。誘拐って身代金を要求されるやろ。そのドラマ、犯人が身代金の値段を決めろゆーて。決めたら決めたでその程度かやて犯人怒ったんよ。でも今、ええ答え思いついたんよ。『0円です。命に値段なんてつけられへん。お金になんて代えられへん。』ゆーて。」



「よう考えるな、ひなちゃんは。」



またしても涓畤壟は感心するが、えげつない思考に変わりはない。



「0円………つまり無料はタダやないゆーことやな。」



「さすが、かしゅーさん。うちの心、完璧に読んどるわ!」



「分かってもらえて良かったな、ひな。」



感心するだけでなく理解する鰍掩に碑鉈は喜び、それを見る剣も嬉しそうだ。



「飴魏蜜穿!!」


「こ、ことりちゃん……どないした?そない大声出して。」



涓畤壟がからかうことを忘れるぐらい、壊れそうなほどの強い勢いで扉を開けた殊犂。



「蜜穿やったらあっちや。」



面倒が当たったと内心思いながらも、鰍掩は後ろにいる蜜穿を指した。
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