クラッカーにはご用心
「このUSB、どういうつもりなんだ?」



殊犂が見せたUSBは黄色く、病院で荊蜻が奪っていったものに間違いない。



「そのUSBがどないしたん?」


「どうしたもこうしたもあるか!USBを開いた瞬間」


「偽ハニービーである射唐栲袴の痕跡は消え、代わりにあやつの悪事がお目見え、やろ。」



「あやつ?」


「うちを呼び出した、サイバー犯罪対策課の牟齧荊蜻や。あやつ、課の設備利用して、企業にちょっかいかけとってな。それが運悪く、廓念会と繋がりがあったんや。」



栲袴に言った、こっちの都合とはこの事である。



「秩序を守る。それが正しいルール、それ以外は悪や、なんてゆうとる正義感の塊みたいな性格らしいけど。ほんまはちゃうやろ?表には悪事が白日の下に晒され、裏からは存在を抹殺される。スタンドプレーヤーにはお似合いの結末ちゃうか。」



本当は、栲袴に会いに行く前に、時間になると栲袴の痕跡を跡形も無く消し去り、代わりに荊蜻の悪事を流出させるプログラムを組んでいたのだが。


殊犂が来るという誤算が生じた為、治療している間にUSBへと変更したのだ。



横取り好きな荊蜻に渡ることを考慮して。
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