クラッカーにはご用心
「こーぞーさん、かっこええわー!…ってなんや、アンジェラ?」


「エンジエライト。許しってゆう石言葉があるんよ。」


「お~ピッタリやな!」



カタカナに弱い涓畤壟に、お客からの知識を碑鉈は惜し気もなく披露する。



「夫婦喧嘩は犬も食わん言いますからね。」


「犬も食ったら腹壊すって分かってんだろ。」



本来の意味とは違うが、行き過ぎた喧嘩が愚かなのは確かだ。



「キザ過ぎて、したんがあんたやなくて良かったわ。…ごほごほ…」


「なんや蜜穿、風邪か?せやったらワイン飲んだら治る治る!」


「あかんよ、お酒なんて勧めたら。蜜穿ちゃん今日は帰った方がええよ。よかったらこれ持っていき。」



剣が差し出したのは、花と紅茶だった。



「スイートピーには香りにリラックス効果があるし、この紅茶はバタフライピーゆうて解毒作用があるさかい。」


「それはどーも。有難く貰っとくわ。」



覇気無く蜜穿は帰っていった。



「蜜穿様、ほんまに大丈夫やろか…」


「最近バイトが忙しいゆうてたのに、こっち来たんは落ち着いたからやろ。心配し過ぎやてかっきーは。」



涓畤壟は軽く笑いとばした。
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