クラッカーにはご用心
「気付いた時に手遅れなんやったら、いつやったらええねん。」
「最近、抜けること少ないですけど、隗赫鰍掩はどんな感じなんですか?」


「……どうもこうもない。」



涓畤壟と柿蒲から言われてからというもの、思い返せば鰍掩よりも蜜穿を探すことが多くなっていた気がして、掎蹟の問いに殊犂は歯切れが悪くなる。



「いくら金杉獣象が高齢で表に出へーんからって、隗赫鰍掩を追いかけるんは止めろて言われてますやんか。上にも睨まれるし、抜けてまですることちゃうと思いますよ。」


「そう言えと言われたか?」



「え、ぁ………そーいえば、特殊レンズ使って盗撮してたストーカー野郎ですが、前に公然猥褻でも逮捕歴があったんやってゆうてました。ああゆう奴は更正せーへんのですかね。」



図星だったようで、慌てて掎蹟は話題をすりかえる。



「動物にとってはメイトガーディング―――配偶者防衛というらしいが、人間はその延長でストーカーになるようだな。……と、何かの本で読んだことがあった気がする。」


「へ~勉強になります。」



無意識に出た言葉を殊犂は咄嗟に誤魔化したが、本ではなく蜜穿から言われたことだった。


妃翠だけでなく、管轄内ならバイト先にまで現れた殊犂を例えたらしい。
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