クラッカーにはご用心
「まぁ、でもここんところは事件が立て続けで、抜けられんかったから隗赫鰍掩も油断しとんのとちゃいます?」


「油断ぐらいで逮捕出来る男ならばいいのだがな。」



鰍掩の嫌味ったらしい顔が浮かぶ。



通常の警らなら掎蹟に任せて抜けられるのだが、




道路交通法違反―――酒気帯び運転で捕まえた奴の車が盗難車だったり、



遺失物横領―――財布を盗まれたと言った奴が常習犯のスリ師だったり、



占有離脱物横領―――自転車を盗んだ奴が空き巣を見付けて通報してくれたり、



迷惑防止条例違反―――強引な客引きをしていた店員がひったくり犯を捕まえたり、



不法侵入―――鍵開け師と自慢気に名乗る金庫破りが豪邸に入ったら忍び込んだあげくに居直り強盗犯と鉢合わせしたり、





微罪ではあるが事件が重なりその処理に追われて、妃翠や蜜穿の家どころか自分の家にさえ、見舞いの後ろくに帰れていなかったのだ。



現に今も、風営法違反容疑の風俗店を張り込んでいる最中だ。


店主は日本人なのだが、従業員は外国人で不法残留の疑いも浮上している。



出入国管理及び難民認定法違反ならば、強制送還しなければならない。
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