クラッカーにはご用心
蜜穿だから感じる色んな自分に辿り着く。



掎蹟曰くの『ええこと』と自分の行動の『変化』。



「(俺は、飴魏蜜穿が……好き、なのか…)」



自問自答してもすんなり受け入れられるほど、いつの間にか好きになっていた。



「(……だが…)」



理由が不明だ。


水と油の様に言い合いになる蜜穿を好きになるとすれば、病院で見た笑顔ぐらいだが。



「(…まあ、いいか……)」



根拠は明確だから理由なんていらないと考えるのを止めた。


蜜穿だから好き、なのだから。



「(風邪、治ったのだろうか…)」



言葉足らずな自分が何か気持ちを伝えるのは、とても難しい事だ。


だけど、不器用でも上手く言えなくてもいいから伝えたい。


蜜穿に伝えたいから。



掎蹟の言うように、これが片付けば一旦は落ち着くだろうから、様子を見に行くことに決めた。



「来た、行くぞ。」


「はい!」



殊犂と掎蹟は駆け出した。





―――既に賽は投げられた。



心の鍵穴に、鍵入れて回すと、扉の中の、想いの歯車達が動き出す。


鍵は殊犂で、扉は蜜穿。




開かれるのは、いつなのだろうか?
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