クラッカーにはご用心
「ことりちゃん、確実に蜜穿んこと好きやんな~。見舞い行ったんやろか?人間弱ると人恋しなる言いますし、なんか進展しとるとええですけどね。」


「面白がるな。表の人間が裏の人間と上手くいくわけないやろ。ことりみたいな性格は特に。」



風邪如きで変わるような関係性ではないと鰍掩は思う。



「え~でも兄貴もことりちゃんに告ってもええみたいなことゆーてましたやんか。」


「……あれはあれや。」



人の色恋沙汰に酔った勢いとはいえ口を出したのは、自分らしくないと自覚があった。


ただ殊犂の真っ直ぐな目には、犯罪を憎む警察官よりも別の意味を持たせたかったのかもしれない。



「まあええですけど。ってか、兄貴もかっきーとはどーなんですか?」


「どうもない。かっきーとは仕事だけや。」



今度はキッパリ言い切る鰍掩に、涓畤壟は面白くなさそうだ。



「あ、そういやこの辺ですよね、蜜穿ん家。」


「ああ、そうやな。」



「寄ってきましょーよ!蜜穿の驚いた顔見たいわー」


「悪趣味やな。」



と言いつつも、驚いた蜜穿がどんな顔をするのか興味がわき、鰍掩もウキウキする涓畤壟と向かうことにした。
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